八ヶ岳(長野/山梨) 赤岳(2899m) 2021年9月23日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:08 車道終点−−4:43 廃林道を離れる−−5:31 小天狗−−6:23 大天狗−−6:56 最初の鎖場 7:20−−7:08 展望荘分岐−−7:44 頂上山荘−−7:46 赤岳 9:35−−10:19 大天狗−−10:51 小天狗−−11:11 廃林道−−11:35 車道終点

場所長野県茅野市/山梨県北杜市
年月日2021年9月23日 日帰り
天候晴、西寄りの強風
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場車道終点付近に駐車余地あり。路側駐車も可能
登山道の有無あり
籔の有無以前は体に触れる笹があったが今は無し
危険個所の有無鎖場、梯子のある岩場あり
山頂の展望晴れれば大展望
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コメント久しぶりの赤岳へ県界尾根から往復。寒冷前線通過直後で西寄りの強風が吹き荒れたが天気そのものは良好で、久しぶりの大展望を楽しめた。以前は廃林道から登山道下部は笹がはみ出していたが今は整備され快適に歩けた




4時過ぎに出発 廃林道入口(登山口)
案内標識 廃林道終点。ここから斜面に取り付く
月が明るい。雲一つなし シラビソ樹林を登る
野辺山方面からの登山道に合流 小天狗山頂
樹林が開けた場所から赤岳を見上げる 朝日が昇る
朝日に照らされた赤岳 シラタマの実
富士山 大天狗山頂
森林限界の岩壁を見上げる 最初の鎖場。剱岳早月尾根よりも難易度が高い
鎖場上部の梯子 県界尾根と真教寺尾根
斜面をトラバース 何の花の残骸かは不明
トリカブト 岩場の小ルンゼ。鎖あり
ハイマツの尾根に乗る この岩のてっぺんが赤岳
北には横岳と展望山荘 展望山荘分岐から上へ。最初は鎖場
次は長い梯子 小尾根に向けて斜めに登る
小尾根に乗る。ここでも鎖が登場 イワヒゲだろう
紅葉したミヤマダイコンソウ 赤岳頂上山荘直下で防寒対策
赤岳頂上山荘 赤岳山頂
赤岳山頂 1等三角点
赤岳から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
赤岳から見た南アルプス(クリックで拡大)
赤岳から見た中央アルプス、木曾御嶽、乗鞍岳(クリックで拡大)
赤岳から見た赤岳頂上山荘 赤岳頂上山荘のある場所は小ピークになっている
赤岳頂上山荘から見た八ヶ岳北部
ウラシマツツジの紅葉 コース上にこの標識が点在
小天狗手前から見た権現岳、赤岳、横岳
小天狗山頂 野辺山方面分岐
清里方面へ下る 廃林道に出た
廃林道はしっかりと刈り払われている 麓の唐松は僅かに紅葉が始まっていた
廃林道でも酷い区間 真教寺尾根への道。5年前は無かった標識
トリカブト 廃林道が沢を横断する箇所。いつも涸れている
車道終点 車道終点から廃林道入口を見ている
5年前までは路側駐車が見られたのだが


・言わずと知れた八ヶ岳最高峰。多くの登山者は西側(茅野側)の美濃戸口から登るが、私の場合は逆側の清里側からとなる。これは登山口の標高がこちらの方が高い(約1650m)し、入山者が少ないので駐車場の確保が容易なことが大きな理由。まだ調布に住んでいた頃には県界尾根コースをよく利用して、自主的にコースの藪の刈払いもやったことがある。

・このコースの問題ははみ出した笹が多く足元が朝露で濡れてしまうこと。人が少ないので仕方ない。もうボロゴアでは防水性能がゼロで着ても濡れてしまうため、今回は下界で使う安物のカッパを使うことにした。防水性能は大丈夫だが難点はズボンを履くのに靴を脱ぐ必要があること。登山用の雨具はその点よく考えてある。そのうちにワークマンでカッパを探してみるか。

・春分の日の前夜に寒冷前線が日本海から本州南岸に抜ける予報で、その後は好天になるはずだが強風の予報が気になる。予想天気図では八ヶ岳付近はまだ前線に近く等圧線がやや密で山の上では確かに風が強そうで「てんくら」の予報では風速20m近くになっていた。ただし、風向きは西のはずで県界尾根コースでは山頂に出るまで稜線がブロックしてくれるので風の影響は最小限で済みそうだ。

・久しぶりの八ヶ岳はいつもの北アルプスより遠い。一般道と中部縦貫道の無料区間を使っても登山口まで3時間かかった。途中、雷の光が見えたり弱い雨が降ったりしたが、登山口に到着すると土砂降りの雨。ただし短時間で弱まってくれた。

・登山口の車道終点には車は皆無。唯一の駐車スペースを確保して酒を飲んで寝たが、明日は何台くらい車が増えるか。5年前なら週末はいつも10台前後の車が止まっていたが、今はどうだろうか。スキー場入口より奥の路面は5年前より確実に荒れており、注意喚起の看板が出ていたくらい。おそらく普通の車はあの標識より奥へは入らないのかもしれない。

・強風を考えて出発はいつもより遅らせることに。予報では天気そのものはいいはずで、寒冷前線の通過で秋の乾いた空気に入れ替わったので、日中になっても稜線にガスが上がってくる心配はほぼ無いので、日の出を狙って登る必要はない。天気は回復して明るい月が出ていた。まだ登山口では風は全く感じない。廃林道の笹で濡れることを想定し、出発時から雨具のズボンを履いてロングスパッツで足元の防御を固めた。

・5年前と違って舗装された車道から未舗装の林道に入るところに車止めのような標識あり。その先の林道は以前から廃林道ぽかったが、今は完全に廃林道化して車は全く進入不能な路面状況だった。おそらく近年の大雨の影響で削られたのだろう。

・5年前は涸れた沢より先が本格的な廃林道であったが、それは今も同じ。ただし、昔は廃林道の両側から笹が大いにはみ出していたのが、今は体に触れる笹が無いほど整備されていた。標識類も昔より整備されていたので、近年になって手を入れたのかもしれない。結局、廃林道から登山道に切り替わるところまで体に触れる笹は皆無だった。

・登山道に変わってからも以前は笹の歓迎を受けたが、ここも刈り払ったようで笹はかなり少なくなっていた。結局、雨具のズボンを履いたのに出番は皆無だった。よって暑くなって途中で脱いだ。この時に登山靴も脱ぐ必要があるので安物カッパは面倒である。

・真っ暗なシラビソ樹林帯を登っていくと徐々に周囲が明るくなってきた。樹林の隙間から稜線方面に見える光は赤岳頂上山荘のものだろうか? ここから見える小屋は全て稜線上にあるので、これで稜線にガスがかかっていないことが分かった。

・標高2150m付近で野辺山方面からの登山道に合流。この尾根が長野/山梨県境の県界尾根だ。今の時代に野辺山駅から歩く人は少ないだろうが、道は割としっかりしている。

・野辺山分岐から僅かで小天狗山頂に到着。ここだけは樹林が開けて広場のようになっているが、開けているのは主に頭上だけで周囲で展望が僅かにあるのは南方向だけである。

・小天狗より先はしばらくほぼ水平な尾根が続く。1個所だけ樹林が開けた河原のような場所があり、ここで赤岳をはじめとする南八ヶ岳のパノラマが大きく広がる。まだ日の出前で山肌には日が当たっていない。

・再びシラビソ樹林の尾根を進み、傾斜が復活してグングン登って再び傾斜が緩んだ肩のような場所が大天狗だが、登山道は南を巻いてしまうので西側から戻るような形で山頂へ。ここは深いシラビソに覆われて展望皆無。なお、山頂標識はぴーくより西側の一段下がった登山道に付けられている。

・大天狗から先で再び傾斜が出てきて高度を稼ぐ。数か所でシラビソが枯れて甲府盆地を見下ろせる場所があり、いつもの北アルプスで見るよりずっと大きな富士山を見ることができた。最初のうちは藤山頂付近は笠雲に覆われ上空は強風が吹いている感が強かったが、そのうちに笠雲は消えた。

・高度が上がるとシラビソに混じってダケカンバが見られるようになる。そして標高2620m付近で樹林帯を抜けて開けた岩壁直下に出る。この岩壁の右端に鎖と梯子があるのはよく覚えており、鎖は使わずに自然地形と灌木を頼りに登り、最後の梯子にだけはお世話になった。この岩壁は技術的にそれほど難しくはないが傾斜は先日登った剱岳早月尾根の最も急な場所よりも急で、しかも凸凹が少ない。早月尾根は岩が積み重なった場所が多いが、この岩壁はおそらく火山灰が降り積もったものが固まった凝灰岩が風化した物で、基本的には一枚岩である。登りやすさの面では早月尾根の方が格段に簡単である。登りはフリーで登れても下りは無理かなぁと思いつつも、下りでも鎖のお世話にならずに突破できた。

・岩壁を抜けるとしばしダケカンバの斜面をトラバース気味に登り、次はさっきの岩壁と同じような地質の小ルンゼを登る。ここにも鎖が垂れているが鎖は使わず岩の凸凹と右手のハイマツを利用する。先ほどの岩壁は浮石は皆無だがこちらのルンゼは浮石が多いので下に登山者がいる場合は要注意だ。

・ルンゼを突破するとハイマツの短い小尾根に乗り、山頂から落ちる岩壁をに巻いて進む。そして赤岳展望荘との分岐点で上に向かう鎖が垂れたハイマツのトンネルの登山道を登る。ここも鎖の出番はないが、その上部の梯子はお世話になる。この梯子は角度が緩いので逆に使いにくい。

・梯子を登りきると再び登山道は斜面をトラバースし始める。目の前には赤岳展望荘が、そして赤岳展望荘から赤岳へ延びる主稜線も近く、そこを歩く登山者がすぐ近くに見えている。ここではまだ稜線に風がブロックされているが巻き込んでくる風がそれなりに強い。稜線を歩いている登山者を見る限り、やはり稜線はかなりの強風のようだ。

・最後は赤岳頂上山荘向けて一直線の登り。ここでも鎖が登場するが使う必要はない。徐々に風が強まり体感温度が下がってきたので山荘に出る直前で防寒装備を着用。また登山靴を脱ぐ羽目になったが、強風下では雨具を着用しないと相当寒そうだ。

・今の季節はもう高山植物は終わっているが、紅葉した葉を観察してミヤマダイコンソウが多く見られることが分かった。私が八ヶ岳に頻繁に通っていた頃はまだ高山植物に興味が無く、どんな花が咲いているのは全く気にしたことがなかったのは残念。この他にイワヒゲが見られたのは収穫。他にも花の残骸があったが何の花なのか判別できなかった。少なくとも私が良く登る北アルプスの山々で多く見られる花ではなさそうだった。そしてミヤマアキノキリンソウを全く見なかったのが驚き。北アルプスではどこに行っても必ずと言っていいほど見られる植物だが、それは北アルプスだけなのだろうか?

・赤岳頂上山荘で稜線に飛び出すと予想通り西寄りの強風が吹き荒れていた。県界尾根コースは山頂直下まで風が直接当たることが無いので今日に限っては大正解のルート選択であった。なお、赤岳頂上山荘はコロナの影響で営業休止中だった。張り紙からすると昨年も同様だったらしい。北アルプスでは結構多くの小屋が営業しているが、感染者が多い首都圏近郊ではそうもいかないようだ。

・強風でふらつきながら赤岳山頂へ。数人の先客ありだがこの時刻では前日に入山した登山者だろう。北アルプス以外から見る久しぶりの展望なので、南アルプスの山々は細かいピークの同定ができなかったのが残念。特に農鳥岳の左側のなだらかなピークがどこなのか分からなかった。さらに鳳凰三山と辻山左のピークは白峰南嶺からさらに南に続く稜線だとは分かったが、どの辺りが見えているのかまでは分からなかった。

・期待していた北アルプスは風が強い割には空気の透明度がイマイチなのと北方面は雲が多いことで乗鞍岳、穂高連峰、槍ヶ岳が辛うじて見えるだけで、それより北側の山々は全く見えなかった。通常の条件ならば白馬岳まで見えるはずなのだが。奥日光の山々は全く見えなかったのも残念。もっと条件がいい時に再訪問したいものだ。

・赤岳山頂はパラパラと登山者がやってきては写真撮影して山頂東直下の岩陰で風を避けて休憩して去っていった。私の感覚では週末にしては少ないように感じたが、まだ時刻が早く本日入山した日帰り登山者の大半はまだ山頂に到着していないからかもしれない。トレランと思われる明らかに軽装の登山者は何人も見かけたが、今日の風の状態では体を動かしていても寒そうな。

・明日の金峰山のこともありのんびりと休憩して山頂で約2時間滞在して下山開始。帰りは真教寺尾根経由で下ることも考えたが、往路に合流するルートが不明なので今回は止めておいた。次の機会があれば迷いにくい登りで使う方がいいだろう。

・県界尾根は人が少ないコースだが、今でもそれは変わらずすれ違った人は10人以上はいたが20人には達していなかっただろう。この天気なら茅野側の美濃戸は大いに賑わっていたはずだ。

・廃林道まで下り、周囲の唐松植林を見渡すと僅かに紅葉が始まっていた。廃林道が終わって車道に出ると駐車している車は私のだけ。5年前とは大違いの週末だ。まさかこの道路は駐車禁止になったのか?と思ったが、道路標識にはそのようなものはなかった。私が利用した駐車余地はバスの転回所の僅かに下で路側が膨らんで路面から外れた場所に駐車可能な唯一の場所で、スペースが狭く車2台しか駐車できない。しかしこの道路はほぼどん詰まりで交通量は少ないので路側駐車しても問題ないだろう。それにおそらくバスの転回所は今は使われていないと思う。ここより下にある清里スキー場入口には「これより先は路面が荒れているので通行注意」との看板が出ていて、バスが入ってきているとは思えない。おそらくこの看板の影響でマイカーも入って来なくなったのだろう。なお、5年前はこんな路面状況ではなかった。まあ、荒れているとは言え舗装道路であるので、普通車での通行に大きな問題は無い。

 

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